「会社を退職したけど次のアテがない」
「実家が貧乏で頼れない」
「毒親から離れて一人暮らししたいけど、無職でアパートを借りられない」
こういった悩みから、親元から離れて環境を変えることができない人や、金銭的な悩みからうつ状態に陥るケースがある。
そういうときに、国や地方自治体が保障している制度を利用したり、ちょっとした努力で一人で生活していくことは可能だけれど、実際のところ一部の人にしか実践されていない。
理由は、国や他人のお世話になるのが嫌だったり、家族から反対されているなどの「個人の事情」がある場合と、制度や法律を知らないという「情報不足」による場合が考えられる。
本記事では後者を対象にして、「一人暮らしで無職になった場合」と「無職だけどこれから一人暮らしをする場合」の方法についてまとめてみた。
一人暮らしで無職になったときのお金の作り方
失業給付の受給手続きをする
これまで雇用保険に加入していて失業したら、「失業給付」を受給できる。
失業給付は、会社に勤めていたときに失業保険に加入していた人を対象にする給付金で、最低でも90日間受給できる。90日が経過したあとでも、就職が決まらなかったら延長できることもある(期間は年齢と雇用された期間により異なる)。
会社を退職すると、会社から離職票が送られてくる。
それを持ってハローワークで求職申込みすると、7日間の待機期間を経て、求職申込みから約4週間後に失業認定日を迎える。
この認定日から約1週間以内で、給付金が銀行口座に振り込まれる。
給付金の額は就業中の賃金によって変わってくるが、週5フルタイムで働いていたならば、低家賃で生活費を抑えれば、給付金だけでも生活していける。
ただし、会社から離職票が送られてくるのが遅いと、届くまで求職申込みができず、その分失業認定も遅れてしまう。
目安として2週間~3週間経っても離職票が送られて来ない場合、会社に問い合わせるか、ハローワークの方から会社に問い合わせて催促した方が良い。
また、7日間の待機期間を経たあと指定された失業認定日まで数日間あり、さらに失業認定日から一週間前後して給付金が振り込まれるので、求職申込みしてから給付金を受け取るまでに1ヶ月以上はかかることになる。
なので、早く給付金が欲しい場合は離職票や求職申込みの手続きは早めに済ませておいた方がいい。
また、退職理由が次のようなときは、待機期間に加えて3ヶ月の「給付制限」期間が設けられる。
- 正当な理由がなく自分の都合で退職したとき。
- 自分の責任による重大な理由により解雇されたとき。
職業訓練に申し込む
上記の「給付制限」がある場合、退職日から数えて4ヶ月前後待たないと失業給付が受給できないことになる。
それまでに貯金が底をついてしまう、という場合は「公共職業訓練」に申し込むことで、3ヶ月の給付制限を待たずに受給することができる。
また、失業給付の「所定給付日数」が満了してしまいそうな場合、訓練に通うことで、訓練終了まで受給を延長することができる。
注意点としては、訓練によっては倍率が高いので受講できない場合があるのと、申し込み期間や訓練期間が決まっているので、タイミングが合わないと訓練を受けるまでに時間がかかってしまう。
退職を決めたら、在職中にあらかじめ日程を確認しておいた方が良いかもしれない。
もし雇用保険の受給資格がない場合は、月額10万円+交通費が支給される「求職者支援訓練」というものがあるので、こちらも検討することをおすすめする。
生活保護を申請する
貯金もなく、家族や親戚の仕送りもアテにできず、訓練も受けられそうにない場合は、最後のセーフティネットとして「生活保護」がある。
憲法第25条の条文には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるので、要件さえ満たしていれば、国民には「生存権」があるので生活保護を受ける権利がある。
一部の人たちの間で、生活保護を受給するのが難しいと信じられているのは、役所でおこなわれている「水際作戦」のためで、もっともらしい理由をつけられて申請を拒まれてしまう。
また、知的障害者など、自力で申請するのが難しい人たちの世帯では、餓死者が時々出てしまいニュースになるが、正しい手順で手続きすれば、まずそんなことは起こり得ない。
水際作戦を阻止するためには、役所のケースワーカーとの電話でのやりとり、窓口相談の内容などを逐一録音して、法律に違反している点があれば弁護士に相談する旨を伝える。
もしくは弁護士やNPOのスタッフ、生活支援センターの相談員などに同行してもらえば、申請が受理されやすい。
無料で相談に応じてくれる団体には、例えば下記のような法人がある。
- 日本司法支援センター法テラス http://www.houterasu.or.jp/
- 特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター・もやい http://www.moyai.net/
その他
生活費全体をカバーできなくても、家賃を本人に代わって支払ってもらう「住宅確保給付金」や、うつ病や統合失調症などで精神科に通院している人が受給できる「障害年金」がある。
足りない分はパートタイムや派遣バイトで稼げば、生活していくことができる。
無職でアパートを借りて一人暮らしをする方法
無職でも借りられる物件を探す
無職だと不動産仲介会社に相談に行っても、物件を紹介してもらえないか、紹介してもらえても入居できる物件数は限られてくる。
それでも「無職 仲介会社」等で検索すると、無職でも入居審査を通すのが得意な仲介会社や、無職者可の物件を知っている仲介会社が見つかる。
例えば、ハウスコムという会社は無職でも物件を借りられる物件を紹介してくれる。
もしくは、直接不動産屋に連絡して交渉しても良いかもしれない。
この方法の注意点としては、貯金額の証明が審査に影響しやすい。
審査を通しやすくするためには、貯金額が家賃の2年分くらいあれば最適だろう。
例えば月5万円の物件なら、5×24=120万円の貯金が必要になる。
家賃2年分の貯金がなければ、せめて1年分の60万円だけでも確保しておきたい。
ちなみに、以前無職でアパートを借りたときには、家賃1年分が入った通帳を大家に提出して、さらに家賃2ヵ月分を先払いするという条件で入居することができた。
家族名義で賃貸を契約する
もし家族に一人暮らしを協力してもらえるのであれば、家族名義で賃貸を借りる「代理契約」という方法がある。
この方法なら、家族が会社員などであれば、自分の貯金がなくても借りられる可能性がある。
ホームレスになってNPOの支援を受ける
決心が要るかもしれないが、一旦家を出て路上生活をするという手段がある。
東京をはじめ、各地には生活困窮者を支援する団体があり、炊き出しや夜回り、ホームレスの住居確保や生活保護申請の同行などを行なっている。
前述のように、支援者に同行してもらうことで生活保護は申請しやすくなる。
また、賃貸物件を探す際にNPOが連帯保証人になってくれることもある。
家族や親戚と同居できない事情があり、お金も仕事もないような切羽詰まった状況で、最後の手段として使えるかもしれない。
グループホームに入居する
精神科に通院していて病名がついている場合、「グループホーム」に入居できる可能性がある。
都内だと1〜2年間、家賃無料で滞在できるワンルームマンション型のグループホームもある。
ただし、数がまだ少ないのと入居希望者が多いので、入居できる人は限られている。
まとめ
国や地方自治体の制度には、一般にあまり知られていないものがいくつかある。
それらの制度を利用すれば、無職で生活していくことも不可能ではない。
今回挙げた制度は、今後改正されたり、制度自体なくなる可能性があるので、事前に当該サイトのページをチェックしたり、支援者や役所の窓口に確認する必要がある。
コメントをどうぞ