無職・ひきこもり・ニート必見!地域若者サポートステーション(サポステ)利用者の体験談

 

川崎登戸の無差別殺傷事件から1週間が経過し、ひきこもりに対するマスコミの報道やネット上で蔓延する投稿に対する議論が繰り返されている。

2018年末の内閣府調査によれば、40歳以上の中高年のひきこもりが約61万人いることが明らかになり、39歳以下のひきこもり人口も合わせると、100万を超えるといわれている。

また、精神科医でひきこもりに関する著作を数多く執筆している斎藤環氏によると、200万人以上はいるということだ。

 

 

ニートやひきこもりの支援としては、「地域若者サポートステーション」や「わかものハローワーク」、「ジョブカフェ」などの事業があるが、世間にはそれほど認知されていない。

他にも、スモールステップの場として不登校や若者の「居場所」が提供されている地域もあるが、現時点では目立った形で有効性は確認されていない。

個人的には、「引きこもり」「ニート」などと一括りにされた当事者たちの中にも、原因別にいくつかのタイプがあると思っていて、個々人に合わせた支援やプログラムが必要だと思っているが、実際にはそこまで体制が整っておらず、規定されたサービスの枠だけでは限界な部分もある気がする。

そのことについて、以前自分が転職活動の際にサポステを利用して、ひきこもりや不登校経験者とも交流する機会があったので、体験談をまとめてみた。

 

地域若者サポートステーション(サポステ)とは

地域若者サポートステーション(通称サポステ)は、ひきこもりやニートの職業的自立を促すために設置された機関で、厚生労働省に認可・委託されたNPOや株式会社によって運営されている。

サポステのスタッフにはキャリアコンサルタントや心理・福祉関係の資格保有者が優遇して採用され、働くことに悩みを抱えている若者に対して、個別相談や専門機関の紹介、コミュニケーション訓練やスキルアップ講座などを提供している。

利用条件としてはほとんどの場合、15歳~39歳の無業者で学校にも通っていない若者が対象になるが、運営団体によっては在職者や40代も対象にしているらしい。

参考:地域若者サポートステーション|厚生労働省

原則利用料は無料だが、臨床心理士によるカウンセリングや宿泊型の自立支援プログラム、職場体験等の一部は有料。

2006年に事業が開始され、2018年時点で全国175ヶ所に設置されている。

 

サポステでの体験・感想

サポステには、再就職活動をしていたときと在職時にそれぞれ別々の地域で、計2回ほどお世話になった。

サポステを知ったきっかけは、悩みを抱えた青少年の集まりみたいなサークルやイベントに参加していた時期に、他の参加者がサポステの話をしていて興味を持った。

その時期自分は、勤めていた会社での職場環境や長時間のサービス残業に嫌気が差していて、転職を考えていた。

周囲からは「不況だから辞めたらもう職がない」「会社を辞めるたびに待遇が悪くなっていく」「我慢が足りない」などと反対されたが、「無駄な仕事を毎日深夜まで何年間も続けても、人生の無駄遣いじゃないか。もっと価値のあることに時間を使った方がいい」と思い、次の仕事を決める前に退職した。

今考えると他にも方法はあったかもしれないけど、在職中だと転職活動や採用面接に行く時間もなかなかつくれず、休職したのを機に職場との関係も悪化する一方だったので、辞めて仕事を探すことに決めた。

上司からも嫌がらせのように毎日電話やメールが来ていたので、会社の方も早く辞めさせたかったのだろう。

辞める旨を伝えに会社へ行ったら、他の部署の課長がニヤニヤしながら待っていて、退職届が用意されていた。

そこに記入してすぐに退職手続きは終了。

 

上場企業での正社員の地位を捨て、会社の住宅補助付きで住んでいたマンションを退去して無職になったので、周囲からは「馬鹿なやつだ」と呆れられたり猛反発されたが、サポステの担当スタッフは何も言わずに退職後のサポートを全面的にしてくれて、かなり助かった。

会社を辞めるまでは精神科には通っていたものの、障害者手帳を取得しておらず、会社には事情は話したもののうまく伝わらなかった。

会社を辞めるのも初めてで、退職後の手続きに関してもまったくの無知だった。

サポステではそれらの障害・福祉面や雇用関係での情報を提供してくれて、必要があれば関連施設の紹介や同行もしてくれた。

また、サポステで提供している面接対策やコミュニケーション訓練も利用した。

自分自身はひきこもりや不登校の経験はないけれど、そこでの他の利用者との交流を通じて、当事者・経験者の現状や心理について多少は理解できたかもしれない。

 

それから数年後、再就職も決まり転居してしばらくして、また転職を考えるようになった。

そのときは仕事を辞めて就職活動しようとは思っていなかったけれど、他の職種について話が聞きたかったのと、引っ越したばかりで知り合いがいなかったので、新しい知り合いをつくるきっかけとしてプログラムに参加しようと思った。

最初に通ったサポステは都心部にあってスタッフ数・利用者数とも多かったが、2回目に通ったサポステは周囲に何もない田舎道にこじんまりと建っており、スタッフも利用者も少なくひっそりとした感じだった。

雰囲気も小規模ならではというか、利用者同士顔見知りが多く、アットホームな雰囲気。

ただし、スタッフの数は少ないので、事務室に立ち寄るといつも忙しそうだった。

このときもコミュニケーション講座に参加したけれど、前回のサポステではスタッフはファシリテーターのような立ち位置で、利用者は話に参加しても、参加せずに話を聞くだけでもよく、時々スタッフが話を振ったり内容を整理する役に回っていた。

2回目のサポステでは、外部講師が主導で段取りが決められていて、最終的に「こういう理由だからコミュニケーションは大切だ」と説明するのが目的らしく、二人一組になって片方が一方的にずっと話し続けたり、お互いがずっと雑談し続けるよう促された。

正直、個人的に合わないと思う利用者もいたので、誰とでも会話を途切らすことなく喋り続けることだけを一括りに「コミュニケーション能力が高い」と定義したような講座内容に疑問はあった。

 

このとき通ったサポステの特徴としては、求人開拓に力を入れているというのもあって、就活セミナーでは近隣の求人を紹介された。

最初のサポステと2回目のサポステでは利用者層にも違いがあって、前者はひきこもりやニートの期間が長く、まずは外に出たり他者との交流を通じてコミュニケーションの練習をしたいという人が多かったのに対して、後者は社会人経験があり、近いうちに再就職を考えている利用者が多い印象だった。

セミナーの流れも、求人開拓のスタッフが求人票の一覧を配り、「どの求人に応募する?」という感じで利用者たちに聞いてくる。

自分としては、その当時興味があった職種への転職を考えていたのだが、セミナーは「何の仕事でもいいから応募して再就職しよう」という空気で、ミスマッチな感じがしてしまった。

その後、関連職種に詳しい外部の機関を紹介されたので、それ以来サポステには通ってない。

 

サポステが抱える問題点

以上のように、サポステは「地域若者サポートステーション」という名称は同じでも、運営団体によって方針は異なり、同じサポステ内でもスタッフによって考え方や持っている情報に違いはある。

利用者とスタッフとの相性の問題もあるので、何年も継続して通っている利用者がいれば、すぐに来なくなる利用者もいる。

 

一方、利用者の状況も様々で、身内に頼る人がおらず経済的に困窮している人もいれば、精神疾患を抱えていてすぐに復職できない人、5年以上ひきこもり状態で最近になって外出できるようになった人、あるいは現在もひきこもり状態の子どもの親が相談に来ることもある。

それに加えて近年、発達障害の診断を受けている、もしくはその疑いのある人の割合も増えてきて、スタッフは多様な問題を抱えている利用者一人ひとりに対応していかなければならず、専門的な知識や支援制度に関する情報提供が求められる。

 

精神障害者の作業所にしろ発達障害者支援センターにしろ、対象とする利用者層がある程度限られているのに対して、サポステが支援している利用者は幅が広い上に、多くの利用者にとって高い壁になっている「就労」という目標に到達させなければならない困難さがある。

サポステのウェブページを見たところ、ここ1、2年の登録者数・就職者数と就職率については以下のようになっている。

 

サポステ利用者の状況
新規登録者数16,122人
就職者数8,930人
就職率55.4%

 

参照元:サポステ[地域若者サポートステーション]

 

数値だけ見ると、過去1年以内の登録者のうち、約60%が就職という高い就職率を挙げている。

ところが、雇用形態としては非正規やアルバイトが大半を占め、職場定着率については示されていない。

実際、長年ひきこもってきた当事者や発達障害・精神障害者が長期間一つの職場で働き続けるのは簡単ではなく、人によってはスモールステップの場を提供して徐々に自信回復から就職活動へとステップアップしていく必要があるので、短期間の支援だけは難しい。

利用者自身にも、「いずれ就職したい」「体調が回復したら就職活動していきたい」という利用者もいれば、そもそも働く気がまったくない利用者もいる。

後者のケースだとますます就労支援は難しいだろうし、スタッフが厳しく叱咤激励すると反発して辞めてしまう。

 

以上のような見解から、自分や一部の利用者にとってはサポートが役立ち、就職に結びついたケースもあるが、すべての利用者をカバーするには限界があるように思える。

今後どのような方針で運営体制や制度が変わっていくのか、あるいは居場所のような場所が拡充されていくのか、注目したい。