就労継続支援A型事業所とは?利用者がすべての疑問にわかりやすく答える

日本の障害者、特に精神障害者の数は近年急増している。

しかし、その一方で一般企業に就職できず、生活に困っている人も大勢いる現状がある。

そこで注目されているのが障害福祉サービスと就労継続A型事業所だが、ネット上には具体的な情報がまだまだ不足している。

これから通うことを考えている人や、興味をもっている人にとって、

「ちゃんと配慮してもらえながら働けるのか」
「休まず通うことができるか」
「他の利用者とトラブルにならないか」
「事業所の人間関係はストレスにならないか」
「生活していけるのか」

といったことは気がかりな点ではないだろうか。

そこで本記事では、A型事業所で就労している利用者本人が、政府の公表データと体験談を交えて、具体的にわかりやすく解説する。

 

就労継続支援A型事業所とは?

就労継続支援事業とは、国が提供している就労系障害福祉サービスの一つで、一般企業に就職するのが難しい障害者が働く機会を得るのを目的としている。

これまで「作業所」とか「授産施設」と言われていた場所と似ているが、うつ病や発達障害などの精神の手帳所持者が多い点や、雇用形態の面で大きな違いがある。

就労継続支援には、事業所と雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型事業」と、雇用契約を結ばない「就労継続支援B型事業」の2つがある。

簡単にいえば、A型は週5日・一日最低4時間働くのが一般的で、アルバイトにイメージは近い。

一方B型は、一日2時間とか週2回とか、自分のペースで通えて、働いた時間や作業に応じて「工賃」と呼ばれる給料が支払われる。

さらに、一般企業への就職を目指して職業訓練をする「就労移行支援事業」も就労系障害福祉サービスに含まれている。

詳細は下表のとおり。

就労移行支援事業と就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業の概要と対象者

引用元:社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課, “障害者の就労支援について”, p3, 厚生労働省, 2021-06-28,
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf
(参照2022-03-28)

 

就労継続支援A型事業所の対象はどんな人?

基本的には、障害者手帳を交付された身体・知的・精神や難病患者が対象だが、事業所によっては手帳がなくても医師の診断書があれば利用できる。

年齢は原則18歳~64歳までだが、65歳になる前から障害福祉サービスを利用していた人の場合、条件を満たせば65歳以降も引き続き利用することができる。

一般企業への就職が難しい人のためのサービスなので、学生やアルバイトや職業訓練をしている人は対象外になる。

利用者の割合は、令和2年時点で精神障害(発達障害含む)が36,050人で47.8%を占めている。

就労継続支援A型事業所の障害種別の利用状況

引用元:社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課, “障害者の就労支援について”, p12, 厚生労働省, 2021-06-28,
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf
(参照2022-03-28)

 

年齢層はだいたいどの年代も20~25%の間だが、40代が24.8%で一番多い。
60歳以上の利用者も8%くらいいる。

就労継続支援A型事業所の年齢階層別の利用現状

引用元:社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課, “障害者の就労支援について”, p13, 厚生労働省, 2021-06-28,
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf
(参照2022-03-28)

 

A型事業所の仕事内容は?

仕事の内容はざっと、下表の3つのタイプに分かれる

職種仕事内容
製造弁当やお菓子の製造・販売、喫茶店の運営、農業
軽作業商品検品・発送、部品加工、ラベルやシール貼り、清掃、クリーニング
パソコン・創作データ入力、ウェブサイト制作、動画編集、イラスト・LINEスタンプ販売

A型事業所のホームページを見て回ったところ、弁当を喫茶店など飲食店を運営する事業所と、本やアクセサリーを作ったり仕入れて、ヤフオクなどのネットで販売する事業所が多い印象。

それに加えて最近では、ウェブサイトの制作やバナー作成、動画編集のような、PC関連の仕事もちらほら見かける。

 

A型事業所の仕組み

就労継続支援事業を運営しているのは、株式会社やNPOで、利用者の人数に応じて国から助成金が支給される。

事業所で働く障害者は、雇用契約を結んで働く労働者であると同時に、国の福祉サービスを利用するので「利用者」と呼ばれる。

給料は、ほとんどの場合は都道府県の最低賃金が支払われる。

例えば、東京都だと令和4年現在で時給1,072円、となりの千葉県だと984円、東北や四国・九州だと800円台後半。

A型事業所の平均的な労働時間は一日4時間で、出勤日数はその月の日数-8日間(30日の場合は30-8=22日間)。

これを東京都の場合で計算すると、1,072×4時間×22日=月収94,336円だが、九州地方の最低時給853円で計算すると、月収75,064円まで下がる。

ここから雇用保険料が仮に250円引かれるとして、手取りは東京都で94,086円、九州で74,814円といったところ。

全体的な傾向としては、賃金は過去6年間で少しずつだが上がっていき、令和3年の平均月額は81,645円となっている。

 

令和3年度の就労継続支援A型・B型事業所の平均月額工賃(賃金)

引用元:厚生労働省-障害者の就労支援対策の状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html

 

A型事業所で働くメリット・デメリット

メリット・デメリットは以下のとおり。

A型事業所のメリット

  • 賃金がもらえる
  • 生活が規則正しくなる
  • 仕事を通じて人と交流する機会ができる
  • パソコンなどのスキルが身につく
  • 生活上の相談に乗ってもらえることもある
  • 障害に配慮してもらいながら働ける
  • 雇用保険に加入できる

 

A型事業所のデメリット

  • 賃金が低く短時間労働の場合が多いので、それだけでは生活できないかもしれない
  • 副業やアルバイト、就労移行支援等のサービスとの掛け持ちができない
  • 職員や他の利用者との関係が良くないと精神的な負担になり得る
  • 事業所の仕事が就職の役に立たなかったり、スキルが身につかないこともある
  • 事業所や職員によっては、障害に対する理解や配慮が十分でない場合もある
  • 健康保険等の社会保険に加入できない

 

補足すると、補助金や障害年金だけでは生活できない人でも、A型事業所の賃金を合わせれば生計を立てられるようになる。

また、雇用保険に加入できる場合が多いので、もし途中で継続できなくなっても、資格条件を満たせば失業給付を受け取ることができる。

一方でデメリットとしては、ほとんどの事業所の仕事は単純作業なので、専門性を身につけられる機会が少ないことが挙げられる。

また、後述のように、A型事業所は福祉サービスではあるものの、職員は組織の存続や利益のことも考えなければいけないため、必ずしも希望どおりの配慮をしてもらえない場合もあり得る。

 

A型事業所をクビ(解雇)になることはないの?

前述のように、就労継続支援A型事業は国の福祉サービスなので、、普通に働いてる限りはクビになることはめったにない。

さらに、以下のような法的な根拠から考えても、簡単に解雇することはできない。

 

客観的に正当性がない解雇はできない

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

引用元:労働契約法第16条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000128

労働契約法では、障害のある・なしにかかわらず合理的な理由がない場合は不当解雇とされている。

「客観的に合理的な理由」とは、労働者に業務を遂行する能力がなかったり、傷病などで働ける状態になかったり、会社が不利益を被るような問題行動を起こした場合などがある。

なので、何の問題もなく働いているのに、ある日突然クビにされるようなことは考えにくい。

 

障害者だからという理由でクビにはできない

第三十五条 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。

引用元:障害者雇用促進法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000123

障害者雇用促進法では「障害者だから」という理由で解雇するのは差別に当たると考えている。

もし差別的な理由で解雇したことが発覚すれば、事業所は助成金の支給停止のようなペナルティを受ける可能性がある。

また、世間に知られれば会社のイメージダウンにもつながる。

 

障害特性への配慮を怠って解雇してはいけない

第三十六条の二 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第三十六条の三 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第三十六条の四 事業主は、前二条に規定する措置を講ずるに当たつては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。
2 事業主は、前条に規定する措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

引用元:障害者雇用促進法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000123

最近は障害者に対する「合理的配慮」をするという動きが世界的に広がっている。

事業所が利用者の障害特性への配慮をせずに解雇をした場合、労働基準監督署等の公的機関から指導が入る場合がある。

利用者には、体力的に安定した勤務をすることが難しい人や、特定の業務をこなすことが難しいという人もいるだろう。

しかし業務をこなすのが難しいからといってすぐにクビにはできない。

 

以上の理由から、障害者雇用で就労している障害者を解雇するのは、健常者よりも難しい。
ただし、福祉サービスとはいえA型事業所も雇用契約を結んでいるので、たとえば以下のような理由で解雇されることがある。

  • 無断欠勤を繰り返した場合
  • 職員の指示に従わず、職場や他の利用者に損害をおよぼす行為があった場合
  • 勤務態度が悪く、仕事の能率が著しく低い
  • 体調不良等で業務に耐えられないと判断された場合
  • 数ヵ月にわたる長期入院で勤務を続けられなくなる場合
  • 経営不振や災害など何らかの事情で事業所が閉鎖した場合

 

A型事業所をクビにされた・されそうになったときの対処

もし事業所から解雇を言い渡された場合、納得がいかなければ、まず職員と話し合い、それでも解決しない場合は外部の人に相談することをおすすめする。

その場で自己判断で退職願を出すのは一番まずい。

退職届に記入して印鑑を押してしまうと、自己都合で退職させられてしまうので、事業所側に非があっても補償を求めることができず、自分に不利な条件で辞めさせられてしまう。

まずは住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談をし、仲介してもらうのが良い。

次に、労働関係の法律に違反している場合には、労働基準監督署が相談先になる。

たとえば、解雇される一ヵ月前までに事業所から予告通知がない場合は、事業所は一ヵ月分の給料を払う義務がある(労働基準法第16条

最後に、障害福祉サービスは「障害者総合支援法」にもとづくサービスなので、障害福祉関係の法律に違反している場合には弁護士への相談、あるいは訴訟を起こすこともできる。

A型事業所の解雇問題の中でもっとも有名なものとして「ネオユニット事件」がある。

これは2017年に札幌のA型事業所閉鎖にともない、利用者全員が解雇されたという出来事である。

この整理解雇では「事業所側から十分な説明がなかったこと」「再就職への配慮が足りなかったこと」などが問題となり、利用者が集団提訴した。

そして裁判の結果、利用者側が勝訴し、事業所の慰謝料支払いが決定した。

引用元:ネオユニット事件(札幌高判令3・4・28) 事業所閉鎖し解雇、やむを得ないとした一審は 回避努力を尽くさず無効に

ここで注目したいのは、障害者総合支援法43条4項の内容が判決に反映された点といえる。

指定障害福祉サービス事業者は、第四十六条第二項の規定による事業の廃止又は休止の届出をしたときは、当該届出の日前一月以内に当該指定障害福祉サービスを受けていた者であって、当該事業の廃止又は休止の日以後においても引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する者に対し、必要な障害福祉サービスが継続的に提供されるよう、他の指定障害福祉サービス事業者その他関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない。

引用元:障害者総合支援法第43条第4項
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000123

つまり障害者総合支援法では、事業所を閉鎖する前に利用者は次の就職先や福祉サービスが利用できるように努力する義務がある。

なので、万が一不当に解雇されそうになったときや、解雇が決まった場合でも、法律に照らし合わせて冷静に対処することをおすすめする。

 

A型事業所から一般就労できる?

A型事業所から一般就労する割合

以下のグラフでは、障害福祉サービスから一般就労(障害のオープン・クローズにかかわらず企業で働くこと)する利用者の割合を示している。

引用元:厚生労働省-一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000797543.pdf

令和元年のデータでは、就労移行支援から一般就労した人は54.7%いるのに対し、A型事業所からの一般就労は25.1%、B型事業所は29.3%とかなり下回る。

就労継続支援から一般就労している人の割合は平成20年当時から比較してみても、ほぼ横ばいな状態が続いている。

これには、いくつかの理由が考えられる。

一つには、A型事業所の賃金で生計を立てられる人にとっては、就職活動への意欲が失われる可能性が挙げられる。

特に既婚者の場合、配偶者の扶養に入り、所得税の支払い義務が発生しない103万円以内で働くことができるので、年間100万円くらい稼げるA型事業所は、ちょうど条件が合う。

実際、入所したA型事業所では、利用者の三分の一くらいは既婚者だった。

こういった背景から考えると、一般就労を目的とした就労移行支援よりも就職率が低いのは、ある意味妥当といえる。

 

次に、就職活動の難しさが理由として挙げられる。

A型事業所の多くは単純作業が多く、就職に活かせるスキルが身につきずらい。

また、就労継続支援は福祉サービスの一環であるため、企業側がどの程度評価しているかも未知数といえる。

A型事業所にマイナスイメージを持たれている場合、その経歴をアピールすることはできないし、履歴書に書かなければその期間は空白期間になってしまう。

 

A型事業所から一般就労する方法

一般就労に結びつけるには、いくつかのルートがある。

  1. 求人情報サイトを活用する
  2. ハローワークで求人を探す
  3. 事業所からの紹介、コネで就職する
  4. フリーランスで働く

 

(1)(2)ハローワークや求人サイトを使って就職活動をするのは一般的だが、派遣や短期アルバイトを含めると働ける機会は広がる。

(3)A型事業所の事業主は、他社とのつながりや交友を広くもっていることがあるので、事業主を通じて就職先を斡旋してもらえるケースがある。

(4)それでも就労が難しい場合は、自分で顧客を見つけて仕事を請け負うというのも、最近では珍しくなくなってきている。
たとえばランサーズやココナラのように、サイト上で手軽に自分のスキルを買ってくれる相手を募集できるプラットフォームもある。

 

一般就労するためにやっておきたいこと

一般就労できる可能性を高めるために、通所中に以下のようなことができる。

  1. 体調管理・体力維持
  2. 有効なスキルを身につける
  3. 求人情報の調査

 

(1)企業が精神障害者を雇うときに心配していることの一つに、勤怠が挙げられる。

欠勤・遅刻・早退が多いと戦力として数えられないし、連絡がつかなくなったりすると困るので、安定した勤務は特に重視される。

(2)次にやっておきたいのは、専門的なスキルを身につけること。

ひと昔前は、専門性が高く高収入な職種は身体障害者に向けた求人が多かったが、最近の傾向として精神や発達障害を対象とした求人が増えてきている。

そのためか、福祉サービス事業所も、ウェブデザインや動画編集、プログラミングなどIT系の内容を取り入れた事業所も少数だが存在する。

専門スキルを身につけることで、就職できる確率も給料も上げるチャンスも増えるだろう。

(3)そして最後に、求人一覧や応募条件を定期的にチェックしておくことで、自分に足りない資格やスキルを確認できるし、モチベーションにもつながる。

また、自分が今まで知らなかった職種や興味がもてる仕事が見つかる可能性もある。

 

A型事業所の実態

A型事業所の情報を検索しようとすると、「おかしい」「ひどい」「厳しい」「パワハラ」などの検索候補が並ぶ。

このようなネガティブは側面は、NHKの番組「ハートネットTV 『食い物にされる”福祉” —障害者の大量解雇問題を追う—』」でも以前取り上げられたことがある。

前述のように、A型事業所を運営しているのはNPOや株式会社だが、収入源として国からの助成金を頼りにしている事業所も数多く存在する。

そして、2017年には「給付費を障害者の賃金に充ててはならない」という規制が強化されたこと、同じような内容の事業所がたくさんあって仕事を受注しづらいことなども相まって、一部の事業所は余裕がない状態で運営されている。

こういった諸事情が利用者にも影響して「厳しい」「休めない」などの声にもつながっていく。

ぎりぎりの運営状態で人員や利用者数を設定していると、利用者の欠勤で業務に支障が生じてしまうし、利用者の労働時間は補助金にも影響するからだ。

 

一方で、制度の見直しもおこなわれている。

これまで一日の労働時間を基準に報酬金額を算定していたのが、令和3(2021)年には、下表の5項目を基準に算定されることになった。

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定についての評価指標と判定スコア

引用元:厚生労働省-令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00007.html

 

つまり、利用者の働き方や職員の支援力、地域との連携などの労働環境も評価ポイントに含まれることになった。

これを機に、今まで特定の業務に偏っていたA型事業所の多様性が増し、職場の雰囲気も良くなり、利用者のスキルや生産性向上につながることが期待される。

 

A型事業所でトラブルが起きたときの解決方法

A型事業所と検索すると「A型事業所 おかしい」という検索候補が出てくる。

これは、おそらく利用者が入所してから感じる、事業所のやり方や職員や他の利用者への不満が少なからず反映されているのだろう。

では、実際にトラブルが起きてしまったときにはどのように対処したら良いのか?

 

事業所と利用者の間のトラブル解消方法

利用者から事業主・職員に対して寄せられる苦情には、たとえば以下のようなものがある。

  • 職員の対応や言葉遣いが悪い
  • 食事や居室等の環境が悪い
  • 説明なくサービス内容が変更されたり、契約書と実際のサービスが違っていた
  • 障害に配慮した働き方をさせてもらえない
  • 金銭トラブルや所有物の紛失・破損
  • 暴力や虐待を受けた
  • プライバシーを侵害された

 

このような問題に対処するために、国や都道府県では条例を設けおり、事業所は「虐待の防止のための措置に関する事項」を含めることが義務づけられている。

それでも実際に問題が起きたときには、下記の相談窓口に相談することができる。

  1. 事業所の相談窓口(担当職員)
  2. 市区町村の福祉担当課
  3. 社会福祉協議会

 

できれば1~3の順で、できるだけ事業所の職員との話し合いで解決できるのが望ましいが、難しい場合は2~3の第三者機関に相談するのが良い。

また、労働条件に関することは労働基準監督署、差別や暴力・人権に関することは弁護士に相談することもできる。

裁判になると費用がかかるが、市区町村で定期的に開催している弁護士相談会や、法テラス等を活用すれば無料で話を聞いてもらえるだろう。

また、A型支援事業は「障害者総合福祉法」、労働全般の問題は「労働基準法」、障害者雇用に関することは「障害者雇用促進法」にもとづいて実施しているため、それぞれの法律内容に目を通しておくと、問題が起こったときに対処しやすい。

 

A型事業所の利用者同士のトラブル解消方法

A型事業所は精神・身体・知的のすべての障害者が対象になるが、精神の手帳所持者だけでもうつ病から統合失調症、発達障害まで色々な診断名が混在しているので、利用者同士でトラブルが起きる可能性も十分にあり得る。

たとえば周りの物音に敏感な利用者のそばで、大声で騒ぐ利用者がいると喧嘩になりかねない。

仕事の得意・不得意やコミュニケーション上の問題で口論になったり、上下関係ができてしまうことも考えられる。

利用者内でもパワハラ・セクハラ・モラハラがあって悩んでいる人もいるかと思う。

そういった場合は、基本的には職員とのトラブルの場合と同じく事業所の職員か、市区町村の福祉課窓口に相談するのが一般的だろう。

暴行やセクハラなど事態が深刻な場合、あるいは弁護士や警察に相談しに行くことも選択肢としてある。

その場合、何よりも証拠を残しておくのが重要

録画はできなくても、ICレコーダーなどで録音したり、記録となるものがあれば消去せずにすべて残しておく。

 

それでも、どうしても解決するのが難しい場合には、他の事業所に移動することも検討せざるを得ない。

就労継続支援を辞めたとしても就職に不利になることは考えにくいし、事業所が多い地域なら、移動先も見つけやすいだろう。

この問題は、今後も改善策を検討していく必要があると思う。

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