【A型事業所】就労継続支援とは?実態からトラブル解決方法まで疑問に答える

Googleで「就労継続支援」「A型事業所」と検索すると、まず上位に事業所や厚生労働省のホームページが表示される。

企業や公的機関のページでは、制度や仕事内容、給料について詳しく説明されているので、就労継続支援の基礎知識を得るのに向いているだろう。

しかし、事業所のホームページでは、利用者が事業所に対して抱いている素直な気持ちや問題点などは反映されにくい。

そこで、本記事ではA型事業所での就労を経験してわかったことや実態について、詳しく解説する。

 

就労継続支援A型事業所とは?

就労継続支援とは、国が定める就労系障害福祉サービスの一つで、雇用契約を結ぶA型と、雇用契約のないB型事業所に分かれる。

 

障害福祉サービス

引用元:厚生労働省-障害者の就労支援対策の状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html

 

基本的には、障害者手帳を交付された身体・知的・精神や難病患者が対象だが、事業所によっては手帳がなくても利用することができる。

A型の仕事内容の代表的なものとしては、以下のようなものがある。

  • カフェや弁当販売店の運営
  • 本や古着・小物のインターネットオークションへの出品
  • ホームページ作成・更新
  • パソコンを使ったデータ入力
  • 商品の発送代行
  • 事業所や施設の清掃

他にも、最近では動画編集やバナー制作など、パソコンを使用した業務の幅も広がってきている。

 

A型事業所の仕組み

就労継続支援事業を運営しているのは、株式会社やNPOで、利用者の人数に応じて国から助成金が支給される。

事業所で働く障害者は、立場的には国の福祉サービスを利用して働く「利用者」なので、正当な理由がなければクビにはできない。

工賃は、ほとんどの場合は都道府県の最低賃金が支払われる。

例えば、東京都だと令和4年現在で時給1.041円、となりの千葉県だと953円、東北や四国・九州だと800円台前半。

A型事業所の平均的な労働時間は一日4時間で、出勤日数はその月の日数-8日間(30日の場合は30-8=22日間)。

これを東京都の場合で計算すると、1,041×4時間×22日=月収91,608円だが、九州地方の最低時給821円で計算すると、月収72,248円まで下がる。

全体的な傾向としては、工賃は過去6年間で少しずつだが上がっていき、令和2年の平均月額は79,625円となっている。

 

就労継続支援平均工賃

引用元:厚生労働省-障害者の就労支援対策の状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html

 

A型事業所で働くメリット・デメリット

メリット・デメリットは以下のとおり。

A型事業所のメリット

  • 工賃がもらえる
  • 生活が規則正しくなる
  • 仕事を通じて人と交流する機会ができる
  • パソコンなどのスキルが身につく
  • 生活上の相談に乗ってもらえることもある
  • 障害に配慮してもらいながら働ける
  • 雇用保険に加入できる

 

A型事業所のデメリット

  • 工賃が安く、それだけでは生活できないかもしれない
  • アルバイトや就労移行支援等のサービスとの掛け持ちができない
  • 職員や他の利用者との関係が良くないと精神的な負担になる
  • 業務が就職の役に立たなかったり、スキルが身につかないこともある
  • 障害に対する理解や配慮が十分でない場合もある
  • 健康保険等の社会保険に加入できない

 

補足すると、補助金や年金だけでは生活できない人でも、A型事業所の工賃を合わせれば生計を立てられるようになる。

また、雇用保険に加入できる場合が多いので、もし途中で継続できなくなっても、資格条件を満たせば失業給付を受け取ることができる。

一方でデメリットとしては、業務内容がある程度決まっていて、専門性を身につけられるような仕事が少ないことが挙げられる。

また、後述のように、A型事業所は福祉サービスではあるものの、職員は組織の存続や利益のことも考えなければいけないため、必ずしも希望どおりの配慮をしてもらえない場合もあり得る。

 

A型事業所の実態

A型事業所の情報を検索しようとすると、「おかしい」「ひどい」「厳しい」「パワハラ」などの検索候補が並ぶ。

このようなネガティブは側面は、NHKの情報サイトでも以前取り上げられた。

前述のように、A型事業所を運営しているのはNPOや株式会社だが、収入源として国からの助成金を頼りにしている事業所も数多く存在する。

そして、2017年には「給付費を障害者の賃金に充ててはならない」という規制が強化されたこと、同じような内容の事業所がたくさんあって仕事がとりづらいことなども相まって、一部の事業所は余裕がない状態で運営されている。

こういった諸事情が利用者にも影響して「厳しい」「休めない」などの声にもつながっていく。

ぎりぎりの運営状態で人員や利用者数を設定していると、利用者の欠勤で業務に支障が生じてしまうし、利用者の労働時間は補助金にも影響するからだ。

 

一方で、制度の見直しも繰り返しおこなわれている。

これまで一日の労働時間を基準に報酬金額を算定していたのが、直近の令和3(2021)年には、下表の5項目を基準に算定されることになった。

引用元:厚生労働省-令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00007.html

 

つまり、利用者の働き方や職員の支援力、地域との連携などの労働環境も評価ポイントに含まれることになった。

これを機に、今まで特定の業務に偏っていたA型事業所の多様性が増し、職場の雰囲気も良くなり、利用者のスキルや生産性向上につながることが期待される。

 

A型事業所でのトラブル解消方法

事業所に対する苦情には、例えば以下のようなものが挙げられる。

  • 職員の対応や言葉遣いが悪い
  • 食事や居室等の環境が悪い
  • 説明なくサービス内容が変更されたり、契約書と実際のサービスが違っていた
  • 金銭トラブルや所有物の紛失・破損
  • 暴力や虐待を受けた
  • プライバシーを侵害された

 

このような問題に対処するために、国や都道府県では条例を設けおり、事業所は「虐待の防止のための措置に関する事項」を含めることが義務づけられている。

それでも実際に問題が起きたときには、下記の相談窓口に相談することができる。

  1. 事業所の相談窓口(担当職員)
  2. 市区町村の福祉担当課
  3. 社会福祉協議会

 

できれば1~3の順で、できるだけ事業所の職員との話し合いで解決できるのが望ましいが、難しい場合は2~3の第三者機関に相談するのが良い。

また、利用者と職員の間だけでなく、利用者同士でトラブルが発生することも想定されるが、その場合もやはり職員や福祉課の担当者に相談するのが良いだろう。

そして、相談しても解決に至らない場合には、利用を辞めて他の事業所に移動するという選択肢もある。

就労継続支援を辞めたとしても就職に不利になることは考えにくいし、事業所が多い地域なら、移動先も見つけやすいだろう。

 

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