精神科・心療内科に初めて行く前に絶対知っておきたいこと

心療内科

 

結論から言うと、精神科は良くも悪くも人生を変えてしまう可能性がある場所だ。

これまで10年余り通ってきて、通院・入院している患者をたくさん見てきた。

回復して社会復帰する人がいれば、何年間も入院して廃人のようになってしまっている患者もいる。

地域の支援センターやデイケア、或いはネットのオフ会や自助グループにも参加してきて、精神疾患を持つ人たちと交流してきて体験したことや感じたことも交えて書いてみようと思う。

 

精神科・心療内科とは

最近では「メンタルクリニック」と呼ぶ人もいる。

心療内科・・・頭痛・倦怠感・過敏性腸症候群などのストレス等により生じた体の不調、「心身症」を対象とする

精神科・・・主に「精神疾患」を専門とし、不安・抑うつ・幻覚・幻聴やイライラなどの症状を対象としている

心療内科は精神的な不調が身体症状に表れているので、心身両方の面で治療していくのに対して、精神科は精神的な不調がうつ病や統合失調症などの精神病を引き起こしているので、向精神薬などの薬物療法と対話により治療する。

とはいえ、どちらも抑うつやうつ病・不安障害などに対応し薬物治療やカウンセリングを行っていることから、違いはわかりづらい。

過去に一度だけ心療内科を受診したことがあったけど、正直精神科との違いはわからなかった。

気になる方は事前にどちらが自分に合ってるか、病院に問い合わせてみた方がいい。

今回は自分が精神科に通っているため、表記はなるべく「精神科」で統一する。

 

メンクリ受診の流れ

精神科を受診する場合は、まず問い合わせて予約する。

患者数の多いクリニックの場合、初診まで数週間~数ヶ月待たされる場合がある。

発達障害の疑いで通院を考えている人は、児童用の検査であるWISC、成人用のWAISなどが診断基準に使われることがあるので、発達障害の検査ができる病院や発達障害についての知識がある医師がいるクリニックを予め調べる必要がある。

また、ADHDの治療薬である「コンサータ」は資格を持った医師しか処方できない。

各都道府県にある「発達障害者支援センター」で病院を紹介してもらうこともできる。

 

受診する精神科を選ぶポイントとしては、自分が通える範囲内にあること評判が悪すぎない病院であること、などが挙げられる。

うつ病やパニック障害などで外出もままならない状態だと、遠くまで通うことができないかもしれないし、電車に乗るのが無理な場合、徒歩やバスで通える場所を選ぶことになる。

今ならネットで検索すれば医師やクリニックの評判などを見つけることもできる。

たとえテレビに出演している精神科医や本を出版している有名な医師が経営していたとしても、良いか悪いかはわからない。

患者と医師との相性もあるし、有名な大学を卒業していたりテレビ局との繋がりがあればメディアに露出する機会が多くなることもあるから、「有名=名医」とは限らない

ただし、あまりにも口コミで評判が悪い病院は注意しなければならない。

 

病院内に数人の医師がいる場合、自分が通いやすい曜日を決めて主治医が決まる。

初診時に次回の予約を取る場合もあれば、初診以降は予約不要な病院もある。

 

診察の内容

自分以外の患者がどんな医師とどんな会話をしているのかはわからないけど、だいたいは日常の生活や症状についての話が主になってくるだろう。

待合室から、医師と談笑する声が聞こえてくることもあったから、時間に余裕があれば雑談することもあるのかもしれない。

ただ、「3分診療」といわれるように、患者が診察室に入ったと思ったらすぐさま出てくるようなこともある。

もう何年も通っていて「医師と特に話すこともない」という患者もいるだろうけど、医師としては短い時間で多くの患者を捌きたいという思惑もあるだろう。

 

下表はWHOにより公表された、各国の精神科スタッフの数と担当する病床数。

 

精神科スタッフ数の国際比較

 

2005年とデータが古いけど、日本では人口十万に対して精神科医は9.4人と、他国と比べて少ない。

にもかかわらず精神科医一人当たりの病床数は30.2と、他国より何倍も多い。

 

一方、外来患者の数は年々増えており、2014(平成26)年の外来患者数は361.1万に及ぶ。

 

精神疾患を有する外来患者数の推移

引用元:最近の精神保健医療福祉施策の動向について – 厚生労働省

 

精神科医の数が足りてない上に患者数が増える一方となると、医師は短い時間で効率よく問診して、処方箋を出すことに終始する結果になる。

保険が適用されないため金銭的に負担になることから、カウンセリングを利用する患者はそれほど多くない。

となると、医師との診察時間にじっくりと対話に時間をかけるのが本来のあるべき姿な気がするけど、現在では向精神薬による治療が主になっている。

医師にとっては、一人の患者に時間をかけてじっくり対話をするのは時間がかかるし疲れる。

たくさんの患者に次々薬を処方した方が儲かる。

もちろん精神科医と一言でいっても、他の科と同じように医師によって良し悪しはあるから一概に言えるものでもないけど、医師も仕事なので善意だけではやっているとは限らない。

 

精神科医を選ぶ基準

実際診察をする段階になって、主治医が合うか合わないかは自分と医師との相性によってだいたい決まるので、「この医師がいい」という明確な基準はないけど、それでも抑えておきたいポイントはいくつかある。

患者の話を聞く姿勢がある

精神科医によっては、患者に対して上からな態度をとる医師もいると聞いている。

プライドが高い医師などは、患者が「薬が効かない」ということを訴えると、嫌な顔をすることもある。

対話によって患者の症状を理解し、適切な治療を行うのが医師の役目だと仮定すると、患者が話しづらいような威圧的な態度や、ましてや患者の言葉に耳を傾けようとしないのは医師としてどうなのかと思う。

「精神科医」というと、専門的な知識を持たない一般人からしたら権威ある存在に見えるかもしれないけど、実際は医師と患者は対等な関係であるべきはずだ。

 

専門的な知識がある

親しみやすい性格だったり話しやすい医師だとしても、肝心の症状に関する知識が不足していると、適切な治療が受けられない可能性がある。

たとえばうつ病には抗うつ剤、統合失調症には抗精神病薬が使われることがあるが、薬の種類や用量を誤ると、病状が改善するどころか副作用や薬物依存に苦しむことにすらなる。

また、近年認知度が高まってきたとはいえ、発達障害の特性をよく理解していない医師が多いため、初診の数分の問診だけでいきなり発達障害と診断するような医師もいる。

精神科医というと「専門家」というイメージがあるけど、実際には大学で医師免許を取得して精神科医を選択するのであって、一つ一つの病名や症状については独学で深く勉強することになる。

ましてや発達障害のような、ここ10数年の間に広まってきた障害についてはまったく知識がない医師もいる。

欲を言えば、精神医療以外の分野の知識を持っていればなお良い。

たとえば精神病と診断されたとして、その後自分がどうすればいいかわからないという人もいるだろう。

その場合、生活や就労の面でサポートしてくれる機関や制度を紹介してもらえれば、次に繋がる。

うつ病等で働けない人にとっては、無理に嫌な仕事をして悪化する可能性があるし、かといって辞めれば生活に困るという事態になった場合、社会資源を活用することで金銭面での負担を軽減できる。

 

精神科・心療内科に通うメリット

どちらかというと精神科に対するネガティブな話寄りになってしまったけど、通院することでプラスになることもある。

精神病や発達障害を理解してもらいながら働きたいという人にとっては、障害者手帳を取得することで障害者枠での就職活動を進めることができる。

精神障害者保健福祉手帳を取得するには、医師の診断書が必要になる。

また、在職中でうつ病や適応障害などにかかり職場を休職したい場合も、医師に診断書を書いてもらい、傷病手当金の申請ができる。

他にも、障害者就労支援施設や生活支援センターを利用するのにも手帳や診療情報提供書が必要になる。

精神疾患のため働けず、ほぼ自宅と病院以外行く場所がないという人には、病院で「デイケア」を提供している。

何より、向精神薬の投与で病状が改善されるのなら何よりだろう。

特に統合失調症などでは、薬物投与による直接的な治療効果が指摘されている。

 

精神科・心療内科で気をつけたいこと

一方、薬の副作用については危険視され続けている。

うつ病のときの脳の状態として「モノアミン仮説」がある。

モノアミンとは、セロトニン・ノルアドレナリン・アドレナリン・ヒスタリンなどの神経伝達物質で、ノルアドレナリンやセロトニンの低下がうつ病を引き起こすというもの。

モノアミン神経伝達物質(wikipedia)

この仮説の真偽については諸説あるものの、仮説に基づいて選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬の一種が処方される。

ただ、医師によってはこの薬を大量処方したり睡眠薬や抗不安薬と合わせて多剤処方するケースが多く見られ、却って病状を悪化させることすらある。

「パキシル」というSSRIが「自殺薬」と比喩され、訴訟沙汰になったことは知られている。

2009年の報告によると、パキシルを生産しているグラクソ・スミスクライン社(GSK社)は、パキシルにより胎児性障害が引き起こされることを知りながら、収益を増加させるため危険性を隠蔽したとして、アメリカ・ペンシルバニア州の民事から2億5,000万円の賠償を命じられた。

胎児障害に関する米国内の約600件の訴訟以外に、パキシルの衝動性亢進の影響による殺人、自殺に関する訴訟でアメリカ・カナダ・イギリスでも訴訟が続出し、2009年までに少なくとも4億円以上の賠償金を支払っている。

ところが、日本ではこういった訴訟沙汰は滅多に起きないし報道もされない上に、初診で訪れた患者にパキシルをはじめとした副作用の危険性の強い薬を処方する医者がいる。

他にも睡眠薬や抗不安薬と併せた多剤処方や、規定量を上回る処方量による影響が懸念されている。

因みに、「薬を断薬したら症状が悪化した。やっぱり薬が効いていたんだ」という患者がいるが、長期間抗うつ剤を飲んだあとでいきなり断薬すると、ドーパミンやセロトニンが急減することによる離脱症状が起こることがある。

この離脱症状に苦しんでいたのが、再び服薬することで消えることで本人は「薬が効いていた」と錯覚したのだとすれば、そもそも最初から抗うつ剤を飲まなければよかったのでは?ということになってしまう。

長期間服用していて突然断薬するのは危険を伴うので、徐々に減薬していく必要があるが、これまで薬を処方してきた精神科医は「ちゃんと薬を飲み続けてないと良くなりませんよ」と再び多量の薬を処方し始める。

特に児童や未成年者への抗うつ剤の使用の危険性は指摘されているが、薬の効果については賛否両論あり、はっきりとしたデータもないので検証しづらい。

ここまで否定的に書いてきたけど、「抗うつ剤は8割の患者には効果がない」とする記事もある。

裏を返すと、2割の重度のうつ病患者には効果があるとも取れるのだ。

薬の効果がないというデータが仮説に過ぎないのであれば、薬の効果があるというのも仮説の域を超えない。

そもそもうつ病を引き起こすとされる「モノアミン仮説」自体が仮説でしかない。

善意で他人に通院や薬の服用を勧める当事者もいるけど、どんな結果になっても誰も責任はとってくれない。

製薬会社・精神科医・臨床心理士・専門家…こういった人たちの間でも色々な意見がある以上、結局のところ自分の身を守るためには、自分でたくさんの情報に触れて判断していくしかない。

参考:The Hidden Harm of Antidepressants(サイエンティフィック・アメリカン)

   若者の自殺増加と坑うつ剤の売り上げ増加の相関関係を発見(NEWSポストセブン)

   パロキセチン(wikipedia)