精神障害で障害年金をもらうには?受給のポイントをわかりやすく解説!

年金手帳と電卓を持つ医者

 

最近、精神的な不調や学校・職場での悩みを理由に精神科・心療内科等に通院する人が増えてきた。

それとともに、世間では「メンヘラ」「アスペ」などの言葉が飛び交うようになり、本人たちの中にもメンヘラを自称する人や、診断名を欲しがって病院をはしごする人が現れるようになった。

そこで改めて、病院へ通う目的について考えてみたい。

精神病や神経症を回復させたいのであれば、現状では心理療法や投薬治療を受けることができる。

学校や職場環境が合わないのであれば、障害者手帳を取得して通級や特別支援学校へ通ったり、障害者枠で就労するような選択肢もある。

もしくは、精神病や発達障害が理由で長く仕事を続けるのが難しい、外出もあまりできず生活が困窮しているような状況の場合は、障害年金を受給することで生活費の負担を軽減できる。

このうち、手帳の取得や心理療法にはこれまでの記事である程度触れてきたので、障害年金の受給について詳しく解説する。

 

障害年金とは?

100ドル紙幣

障害年金とは、病気やケガによって仕事や生活が制限されているときに受けられる年金制度で、身体だけでなく精神障害も対象になっている。

また、勘違いされることもあるが、一人暮らしや仕事をしている人でも条件を満たせば受給できる。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の二つがある。

 

障害基礎年金

・20歳になる前に病気やケガをして障害の状態となり、その障害の程度が1・2級に該当する場合、20歳以降に支給される(所得制限あり

・国民年金加入期間中に病気やケガをして障害の状態となり、その程度が1・2級に該当する場合支給される(保険料の納付要件を満たしている必要あり)

・支給額は1級で97万5,125円(2ヵ月に一回、16万2,520円)、2級で78万100円(2ヵ月に一回、13万16円)

 

障害厚生年金

・厚生年金加入期間中に病気やケガをして障害の状態となり、その程度が一定の要件を満たしていた場合に支給される(保険料の納付要件あり)

・支給額は以下のとおり
1級 (報酬比例の年金額)×1.25 +〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕
2級 (報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕
3級 (報酬比例の年金額) 最低保障額 585,100円

 

国民年金加入期間中に障害基礎年金を受給する場合の保険料の納付要件については、日本年金機構のページには以下のように記されている。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

引用元:日本年金機構-障害年金
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

 

つまり、20歳の1月から国民年金保険料を納付または免除申請し始めて、23歳の3月に初めて病院へ通った場合、20歳の1月~23歳の1月までのうち通算して2年(24ヵ月)以上納付または免除していることが要件になる。

なおかつ、22歳の1月~23歳の1月までの1年間未納していないことも含まれる。

では、その期間保険料を払っていないと受給できないのだろうか?

その場合、20歳より前が初診日であるか、もしくは20歳前からすでに病気を発症していれば受給できることもある。

ただし、20歳前からの病気として受給する場合、所得額が398万4,000円(2人世帯)を超えると年金額の2分の1が支給停止、500万1,000円を超えると全額停止となるので注意。

また、厚生年金に加入していないのでもちろん障害厚生年金の受給対象外になる。

 

障害年金の対象者と認定基準

杖をついて歩く男性

精神障害で申請する場合、障害基礎・厚生ともに「統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害」などが対象になる。

特に統合失調症の診断を受けていると申請が通りやすいと聞くが、うつ病や知的障害でも病気や障害の程度によっては受給することができる。

発達障害については日常生活が送れていたり就労している人もいることから、症状が軽く見られる傾向があるように感じる。

また、判定をするのは「認定医」と呼ばれる人たちだが、その名前や実績についてはすべて非公開となっている。

精神科医の中には発達障害は専門外という医師も多いが、認定医にもし発達障害に関する知識が少ないと、他の病気も併発しているなどのケースでないと申請が通りづらくなるかもしれない。

因みに、障害者手帳と障害年金はまったく別の機関で別々の認定基準で判定が行われているので、障害者手帳を取得していても年金はもらえないケースは少なくない。

障害年金の認定基準は、以下のとおり。

障害の程度障害の状態
1級精神の障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
障害手当金精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 

これに加えて、各障害の症状の程度に応じて基準が設けられている。

また、以前は各都道府県ごとに年金事務所が委託した認定医が判定を行っていたが、地域によって基準に差があることが問題になり、認定基準を示したガイドラインが作成された。

参照:日本年金機構 「精神の障害に係る等級判定ガイドライン

 

ガイドラインから主だったものを抜粋すると、生活環境についてはこう書かれている。

独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。

 

労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。

 

つまり、一人暮らしで就労していたとしても、福祉サービスや家族の援助、職場での支援や配慮を受けながら生活している場合は、年金受給の対象になり得るということ。

もし年金を受給中に就職して家を出た場合でも、直ちに停止にはならず、次回の更新は2年後や1年後などにして、様子見となることもある。

 

障害年金の申請の流れ

年金を申請するにあたって、まずは主治医に診断書を書いてくれるか尋ねてみるのがいいだろう。

診断書が書けないということは、今の病名や症状では年金受給の基準に該当しないと医師が判断しているのかもしれないが、いずれにせよ診断書なしには申請することはできない。

主治医に確認が取れたら、市区町村の役場もしくは近くの年金事務所で申請書と必要書類を受け取る。

年齢や本人の状況によって必要な書類は異なるが、必ず必要な書類は以下のとおり。

1.戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
2.医師の診断書
3.受診状況等証明書
4.病歴・就労状況等申立書
5.受取先金融機関の通帳等(本人名義)
6.印鑑

 

このうち重要なのは(2)と(4)で、(4)については自分で記入しなければならない。

書類がすべてそろったら、窓口に提出して約3ヵ月後に審査結果の通知が届く。

審査で不適格となった場合、3ヵ月以内に不服申し立てをすることができるが、一度決定した審査内容を覆すのは難しいと思われる。

やはりなるべく審査が通るように、できる限りの準備をしておいた方がいい。

 

障害年金の診断書のチェックポイント

年金の申請をするに当たって、一番大事なのは主治医の診断書だといえる。

とはいえ、医師には障害年金の制度自体よくわからない人も少なくない上に、最終的にはどこの誰かわからない認定医が判定をするので、申請して実際に審査が通るかどうかの確証は誰にも持てない。

ただ、公開されている診断書の様式とガイドラインの基準から、ある程度の予測を立てることはできる。

 

障害の原因となった傷病名

診断書

 

傷病名は先にも述べたように、統合失調症で年金を受給している人の割合は多いように思える。

躁鬱やうつ病・知的障害などで受給している人もいるが、発達障害は単体で審査が通った例はあまり聞いたことがない。

 

発病から現在までの病歴及び治療の経過、内容、就学・就労状況等、期間、その他参考となる事項

診断書

 

これは、障害が1級~3級のどれに該当するか、もしくはいずれにも該当しないか判断する上で参考にされる。

「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が作成されたことで、認定医の主観だけで判断されることは多少なりとも少なくなったと思われるが、やはり治療による回復傾向にあり、欠席・欠勤なく長期的に就学・就労できていて、日常生活に問題が少ないとなると病状は軽いと判断されても仕方ないだろう。

かといって、就学・就労していても周囲のサポートが必要だったり、長期的に一つの職場で働くのが難しい場合などもあるので、必ずしも非該当にはならない。

 

障害の状態

診断書

 

ここでは、以下の項目について記載する。

ア 現在の病状又は状態像
イ その程度・病状・処方薬等
ウ 生活状況
エ 現症時の就労状況
オ 身体所見(神経学的な所見を含む)
カ 臨床検査
キ 福祉サービスの利用状況

 

これは⑦の項目をさらに詳細に記入するような構成になっていて、(ア)と(ウ)は主に選択式で、他はだいたい記入式。

(ア)・(イ)は障害についてどんな症状があるのか当てはまる項目に〇をつけ、具体的な内容を記載することになっているが、やはり当てはまる項目が複数あり、その程度も深刻な状態にあり苦難を強いられていることがわかれば、支給の対象になりやすいのではないだろうか。

(ウ)では「食事」「身辺の清潔保持」「金銭管理と買い物」「通院と服薬」など日常生活にかかわる項目でどの程度できるかを4択で答える。

ガイドラインには、1~3級の障害の状態がどのようなものなのか定義されているが、その障害の程度と(ウ)での選択内容を加味して等級が決まるのだろう。

(エ)の就労状況については、「勤務先」「雇用形態」「給料」などをそのまま記入する欄と、「仕事の内容」「仕事場での援助の状況や意思疎通の状況」を具体的に書く欄がある。

この場合、雇用形態は同じ正社員や契約社員だったとしても、例えば障害者枠での就労や特例子会社での就労、あるいはA型作業所などで働いていることが記載されていれば、援助や配慮が受けられる環境という条件付きで就労が可能なのだと読み手に伝わるだろう。

なので、主治医には自分の状況を事前に伝えておいた方が良いかもしれない。

医師が勘違いして、「一般企業で問題なく就労している」などと書かれたりすれば、実際は障害者雇用で苦労しながら仕事をしていたとしても、認定医には伝わらない。

因みに、年金の窓口では収入や納めている厚生年金などを管理しているので、障害年金の診断書や申請書に就労の事実を書かなかったとしても、おそらく審査の際に調べて把握されるだろう。

(カ)では、心理テストや知能検査の結果や内容を書く。もし知的障害や発達障害などで知能検査をしていて、知能指数が平均より低かったり偏りがある場合、記載すればその分も加味して判定されるかもしれない。

 

結局のところ、診断書は主治医が作成するものなので任せるしかないのだが、日常生活や就労状況などで必要なことは事前に伝えておいた方が良いだろう。

もしくは、可能であれば診察中に医師と話しながら書いてもらうのも手だ。

 

障害年金の申請書の書き方

診断書と同じく重要なのは「病歴・就労状況等申立書」で、これは自分で記入しなければならない。

以前は社労士の存在自体それほど知られていなかった気がするが、ここ数年障害年金の不支給や支給停止の事例が注目されるようになり、申請の際に社労士に依頼するかどうか迷っている人が多いようだ。

結論から言うと、申立書の内容自体にそれほど難しい項目は含まれておらず、専門的な知識なども要らないので自分でも作成できる。

また、記入事項は以下のとおりだが、医師が書く診断書に比べるとそんなに多くない。

 

病歴状況

申請書

 

病歴状況は、どうやら医師の診断書の①・⑦あたりと同じで傷病名と通院中の状況について記載することになっている。

傷病名は医師から聞いた診断名を書けば良いとして、その状況についても病気によって日常生活や就労に問題を抱えているということがわかれば良いと思われる。

ただし、認定医は「診断書」と「申立書」の両方を確認して相違点がないかを調べると思うので、虚偽の内容などは書かない方が良いだろう。

 

就労・日常生活状況

申請書

 

この項目は「1.障害認定日」と「2.現在」のそれぞれの状況を報告する。

日常生活で不便に感じていることを書く自由記入欄を除けば、すべて該当する項目に〇をすればいいので難しくはないと思うが、質問項目はやはり診断書の項目と似ているので、相違点はなるべくない方がいいだろう。

診断書の内容がもしわかるのならば、同じように合わせて書けばいいし、基本的に主治医も自分も事実のとおり「障害によって生活・就労に困難を伴う」という内容を書いていれば問題ないと思われる。

 

以上のことから、医師やケースワーカーと相談しながら自分で申立書を書くことは可能だが、それでも心配な場合や、病態がおもわしくなく書類を書く気力が湧かないというときには、社労士に依頼するのも選択肢の一つではある。

いずれにせよ、最終的には認定医の判定によって決まるので、審査の結果通知が来るまではどうなるか誰にもわからないだろう。

 

障害基礎年金と厚生年金を合わせれば、最低限の生活を営むことはできるし、障害基礎年金だけでも受給できれば、短時間のアルバイトやA型作業所での工賃と合わせれば不可能ではないだろう。

傷病により働けず、生活が困窮している人には助け船となるかもしれない。

 

 

参考
日本年金機構-障害年金
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/20140421-23.files/0000015301DRaiUqGn87.pdf

病歴・就労状況等申立書
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/shindansho/20140516.files/0000019142mEPPOLXV2r.pdf