臨床心理士・公認心理師指定大学院入試の対策と勉強方法

 

去年(2020年)は一年間大学院進学に向けて勉強をして、5校受けて2校は学科不合格、2校は学科に合格したものの面接不合格、1校は学科・面接に合格して入学が決定した(ただし、諸事情により入学辞退)。

入試を終えてみて、「もっとこう勉強したらよかった」とか「ここの大学院はこの勉強をもっと重視すればよかった」という反省点が色々と浮かんできた。

科目によっても学校によっても勉強の仕方は変わってくるけど、今回は全体的な大学院入試の準備と勉強方法について考察する。

心理系大学院入試のスケジュール


大学院入試のスケジュールを表にしてみた。

 

表のとおり、大学院入試は秋・春の年2回実施している学校が多い。

臨床心理学コースの受験科目は心理学、臨床心理学、心理英語の3つから構成されていて、実感として入試の一年くらい前から準備するのが良い。

ただし、学部で心理学の基礎や臨床心理学の知識が身についている人であれば、半年でもなんとかなるケースもある。

一方で、国立大学は私立よりも全体的に入試問題の難易度が高い傾向にあるので、基礎から勉強を始める場合一年では足りないかもしれない。
受験年度の6月~7月頃から願書受付が始まり、7月~9月頃に秋入試、12月~2月頃に春入試がある。

秋入試で落ちた学校に再度、春入試で受験することもできるが、春入試はどこも募集定員が少なくなるので、秋よりも不利になる。

去年秋入試で難関大を2校受けて全敗してしまい、春入試までの期間ずっと勉強をして何とか合格できた経験から考えると、できる限り秋入試にすべての志望校を受験して、確実に合格を狙うことを推奨する。

特に現役大学生の場合、卒業論文も両立して作成しなければならず、周りの学生が次々と進路を決めていく中で卒業間近まで受験勉強に時間を割かなければいけないというのは、精神的な負担もかかり勉強に集中できなくなる可能性もある。

 

臨床心理士・公認心理師指定大学院で入りやすい学校は?

去年受けたのは国立1校、私立4校で、他にも途中まで受けるつもりでいた国立・私立の学校も含めて7、8校分くらい過去問を解いた。

実感としては、国立よりも私立の方が問題の難易度は平均して低い。

次に、大学の偏差値の高さと大学院の入試問題の難易度は比例する傾向がある。

つまり、入りやすい大学院順でいうと、


 私立(ランク下)> 私立(ランク上) > 国立


というような順位になる。

また、アクセスが悪い地方の学校の方が、立地的に通いやすい都内の学校の方よりも受験者が少ない傾向があるので、倍率に影響する。

ただし、学校によって面接で重視するポイントや問題の出題傾向が異なるので、実際には上記の順位が前後することもあり得る。

 

志望校の選び方

大学院は、受験する学校によって出題の傾向が異なるので、その学校に合わせた対策が必要になる。

そのため、志望校はできるだけ早めに決めておいた方が良い。

志望校を決めるポイントには、以下のようなものがある。

 

自分の研究したい分野に詳しい教授がいる学校

大学院は専門分野の研究を目的とした場所なので、志望校を決める上で一番のポイントは、自分の研究や修士論文の指導ができる教授がいる学校を選ぶこと。

具体的には、自分の興味のある分野について論文や書籍を調べて、発表の実績や学会における地位があるような教授を見つける。

例えば、「大人の発達障害の支援」「インターネットを活用したカウンセリング」「行動活性化療法の実践」のような特定のテーマについて検索して、研究実績のある教授を選ぶ。

ただし、研究の実績はあっても、その教授と自分の性格的な相性が良くない場合、自分の興味のある分野とはいえ2年間指導を受けるのが苦痛に感じることもあるかもしれない。

そのため、事前に研究室訪問や個別相談会で実際に話してみて、相性が良いかどうか確認するのも一つの方法として考えられる。

むしろ、事前に指導を希望する教授と連絡することを必須としている学校もある。


ただ、そこまで具体的に研究したい分野が決まってないという人や、研究分野にこだわりはなく心理系の資格が欲しいという人の場合、だいたいどの学校でも幅広い分野の研究指導が受けられるので、研究室訪問はしなくても良いかもしれない。

また、入学後に指導教員が決まるので、入学前の研究室訪問はお断りという学校もある。

研究室を訪問するかどうか迷った場合は、大学院の入試センターに問い合わせて、訪問を推奨しているかどうか、これまでの受験者は訪問を行っていたかどうか聞いてみるのも良いかもしれない。

 

公認心理師・臨床心理士資格対応のカリキュラムがある学校

臨床心理学のコースの受験者は、公認心理師・臨床心理士の資格取得を目指している人がほとんどだと思う。

新資格の公認心理師は特に、資格取得に必要なカリキュラムが組まれていない学校がある。

また、心理系大学院は第一種第二種に分かれていて、第二種の大学院では修了するだけでなく、1年以上の実務経験を積まないと資格試験を受けることができない。

心理系の求人は、心理系の資格を所持していることを条件にしていることが多いので、資格を取った上で就職活動をするのであれば、第一種の学校を受験すべき。

 

将来就きたい職域に力を入れている学校

大学院には、学校臨床や教育分野に力を入れている学校、司法や犯罪分野の相談を多く受けている学校など、それぞれの特色がある。

自分がスクールカウンセラーになりたいのか、児童相談所の職員になりたいのか、病院で働きたいのかなど、自分の進路とマッチした学校を選ぶという方法もある。

学校がどの領域で知られているのかは、学校のパンフレットや相談会の説明で知ることができる。

また、学内の臨床センターに相談に来るクライエントの相談内容にはどのようなものが多いか、学校説明会で聞けば答えてもらえると思うので、その相談内容からも学校の特色が見えてくる。

例えば自分が児童虐待や家庭内暴力などの領域の仕事に興味がある場合、学内の臨床センターにそのような相談をしに来るクライエントが多い学校を選べば、実習で自分がクライエントに携わったり、事例検討に参加できるかもしれない。

 

知名度が高い学校

どの学校でも良いのであれば、東京大学や京都大学のような、いわゆる有名大学は肩書きとしてのメリットがある。

例えば将来カウンセリングルームに勤めたり、個人で相談事業を始める場合、無名の大学出身で実績のない人間より、東大出身の方が世間からの印象や評価は良くなるだろう。

また、将来もし大学教員や大学で研究をしていきたい場合にも、やはりランクの高い大学を卒業した方が有利になるのではないかと思う。

 

自宅から通いやすい場所にある学校

大学院に入学すると、授業の準備や発表、レポート提出に週3回程度の実習がある。

休日には学会のポスター発表やシンポジウム、ワークショップなどが行われ、2年次には修士論文の提出がある。

学部よりも忙しく自由な時間も少なくなるので、通学にかかる時間は短いに越したことはない。

実際、都心から離れた場所にある学校に比べると、都内のアクセスが良い学校の方が受験者が多い傾向がある。

 

学費が安い学校

河合塾が作成している、2019年版の大学院入試ガイドによると、国立の東京大学、京都大学、筑波大学の初年度納付金は817,800円、私立の明治大学は873,000円、早稲田大学は1,194,000円、文教大学は992,000円、立命館大学は1,150,000円となっていて、国立の方が学費は安い。

また、学校が独自に用意している奨学金制度もあるので、特に成績優秀者を対象にした給付型奨学金制度を使えば、授業料が半額や全額免除になる場合もある。

給付型奨学金制度は、学内全体の中で評価され、上位数パーセントの成績者のみ支給される、というような決まりが設定されていたりするので、その学校に在籍している生徒のレベルによって奨学金の受けやすさも変わってくる。

 

大学院入試の勉強方法

大学院入試の勉強は、主に「基礎知識の学習」「過去問」「より深い内容の学習」の3つで構成されていると思う。

まず、できるだけ早い段階で志望校を決めて、過去問を取り寄せる。

過去問を見ることで、志望校の出題傾向がわかるし、解けない問題が多ければ危機感を煽られるので、学習するモチベーションにつながる。

何が書かれているかわからなかったり、まったく問題が解けない場合は、まずは心理学の概論書を読んで基本的な用語を覚える。

 


同時に心理英語の学習も始める。英語は中学・高校レベルの文法や単語がわからない場合、中学・高校英語の勉強から始め、それから心理学で使われる英単語を覚える。

 

 

基礎が身についてきたら、再度過去問を解いて、受験する学校の出題傾向を調べる。

具体的には、過去3~5年分くらいの過去問を取り寄せて、問題の種類ごと(教育、認知心理学、学校臨床、精神分析など)に付箋や印をつけて、どのような種類の問題が多いか調べる。

そして、その分野が詳しく書かれているテキストや、その学校の教授の著書を読んで、問題に答えられるようにする。

受験する学校の過去問は一通り解いて、できれば一周だけでなく、2、3回繰り返して解くことで記憶に定着させられる。


※心理学・臨床心理学の詳しい勉強方法とおすすめ参考書は心理学・臨床心理学編を参照
※心理英語の勉強方法は心理英語編を参照